設計した住宅のために神棚を設計した。
現代の住宅において、神棚を設け、祈りを日々の営みとして大切にすることには、住まい手の精神や意志が表れているように感じる。
今回考えたのは、日常の空間に祈りの場をどのようにつくるかということだ。家族が食事をし、語らうダイニングでありながら、ふと意識を向けたとき、そこに祈りの場が立ち現れる。その二つが無理なく共存するあり方を目指した。
神棚は、できるだけ奥行きを抑えた薄い形状とし、壁面にすっきりと収まるように設計した。台座の角には丸みを持たせ、造形の印象を和らげている。神棚としての静謐な存在感を保ちながら、ダイニングのインテリアにも自然に調和する佇まいを意図した。
素材には、住宅全体で用いている欅と銅を採用し、住まいの素材とのつながりを持たせている。また、神具には陶芸作家が一つひとつ丁寧につくった器を用いた。
日常のなかに静かに佇みながら、そこに意識を向けることで、祈りの場としての意味が立ち現れる。暮らしの風景に溶け込みながらも、確かな存在感を持つ神棚を目指した。
神棚の制作は、江戸指物師の益田さんに依頼した。