木立の中の石のアプローチと、低く構えた住宅の外観

住宅 · 長野県軽井沢町

森で暮らす家

A House for Living in the Forest

もともとこの土地には、人が離れて久しい古い家が建っていました。

その家の背後には急斜面が迫り、雪が積もれば部分的に埋もれてしまう。激しい雨が降れば、その流れを背で受けるように建っていました。

この土地に暮らしを編む

木々の間から見下ろした、四方へ流れる屋根

屋根

敷地を眺めながら構想を練っているとき、建物が周囲の風景に対して、あまりに大きく感じられることは避けたいと思いました。どの角度から見ても、空や、頭上を覆う木々の樹冠ができるだけ広く見えるようにしたい。

そこで、屋根の四つの面がそれぞれ外側へ向かって勾配を持つ「方形屋根」という架構形式を選びました。一方向に大きく屋根を架けるのではなく、四方へ屋根が流れることで、建物の高さを抑えながら、周囲の空や木々へ視線が開いていく形をつくれると考えました。

建物の高さもできるだけ低く抑え、木々の中に静かに沈んでいくような佇まいにしたいと考え、何度もスタディを重ねました。一方で、必要な諸室を納めるためには、部分的に2層とする必要がありました。そこで、2階部分についても、空間として成立するぎりぎりの天井高を探りながら、建物全体の高さを決めていきました。

天井を低く抑えた居間。奥の窓越しに庭が見える

居間

アプローチから玄関ホールまで続いてきた一息の流れを受け止める、溜まりの場として、この場所に居間を計画しました。機能的には、ダイニングや寝室、テラスへとつながる、暮らしのハブでもあります。

天井高をやや低く抑えることで、玄関側から入ったときには視線が水平方向へと導かれ、庭の景色が自然と視界に入るようにしました。一方、ダイニング側から見ると、壁と天井に包まれるような、少し籠もった空間になります。人の動きが集まる場所のあいだに、重心を低く抑えた静かな場所を置くことで、暮らしの中に一息つける余白をつくりました。

L字に開いた窓の前の円卓

食堂

室内で最も庭に近い場所に、ダイニングを計画しました。東京を離れ、軽井沢に家を構えることの豊かさを、この場所で表現したいと考えました。人が集い、食事をする場所だからこそ、庭とのつながりを感じながら過ごせる空間にしたいと思いました。

L字に開く窓は、自然と意識を外へと導きます。季節による植物の変化や、鳥や動物たちの営みに気づくことも、この窓がもたらす小さな体験のひとつです。窓台は、あえて腰掛けられる高さに設定しました。そこに腰を下ろしたとき、光や風、景色の変化を、目だけでなく身体でも感じられるようにしています。

木の素材で包まれた台所
大きな窓が森に開く寝室
手摺の明かりが左官壁をなぞる階段

階段

1階のダイニングと2階の趣味室は、吹き抜けを介してつながっています。その二つの場所を行き来する階段も、単なる移動のためのものではなく、少し特別な時間になるようにしたいと思いました。

階段は、できるだけ緩やかに。手摺は、手を添えたときにそのまま撫でるように触れられる、滑らかな形にしています。

用途
戸建住宅
所在地
長野県北佐久郡軽井沢町
構造・規模
木造 地上2階
設計・監理
STUDIOFUU
施工
笹沢建設