ヒマラヤを望むネパールの村に、子どもたちのための柔道場を提案した。
2015年の地震によって損傷した旧柔道場に代わる施設として、限られた資源を生かしながら、子どもたちの活動を支えるだけでなく、地域の人々が自分たちの暮らす土地の価値を再発見するきっかけとなる建築を目指した。
建築を、地域の風景の一部に
雄大な山並みが望める方向に大きく開き、子どもたちの稽古が広場から見える構成とした。
建物の内部に閉じた活動を地域に開くことで、子どもたちの姿が日常の風景の一部となる。そこに目を向けた人々の視線が、やがて背景に広がる自然へと向かう。建築を通じて土地の美しさに気づき、環境への愛着が育まれることを意図した。
土地の素材と、人々の手でつくる
主構造には鉄骨を採用。壁面は、ネパール各地で行われている煉瓦づくりや、近隣で得られる素材に着想を得て、粘土質の土をベースとし、表面を近くの川で採れる石による野面積みで仕上げる構成を検討した。
また、資材の流通や材料そのものにかかるコストを合理化するため、現地で得られる素材を活用。専門的な技術を必要とする主構造と、地域の人々が施工に参加できる壁面や間仕切りを切り分け、限られた資源のなかで建築を実現する方法を探った。
地域の素材と人々の手を生かしながら、建築がその土地に根づいていくことを目指した計画である。